早朝から、暑さの厳しい宇都宮市でした。県庁隣の栃木県総合文化センターはとても立派な建物で、初日の午前中は総会が開かれました。
4年振りの対面での開催には、多くの関係各所の皆様の努力が感じられ、全肢P連会長からのお言葉は、お立場だけでなく、親としてとても心揺さぶられる内容がありました。
開会式では、文部科学省初等中等教育局視学官菅野様より、これからの肢体不自由特別支援教育についての展望や支援学校での実践例など、動画と共に、会場から驚きの声がありました。私が気になりましたのは、「令和の日本型学校教育」における「子供の学び」の姿について、「協働的な学び」一人ひとりの良い点や可能性を活かし、子供同士、あるいは地域の方々をはじめた様な他者と協働することにより、異なる考え方が組み合わさり、より良い学びを生み出す。 今年、高校三年生になる娘は、養護学校から特別支援学校に切り替わった年に入学しました。インクージブ教育という言葉が出始めた時で、子供達の学びの場ではそれが一体何なのか、どのような成果や習得になるのか、分かりませんでした。支援学校での友達との学び、また居住地校交流で地域の同年代との学び、娘にとって必要な環境や将来を考えることに繋がったことは、協働的な学びを求めて得られたと感じました。
しかし、そのことは学校だけではなく、家庭や家族、地域で受けられる福祉の努力があってできたことで、平等に受けられることではありませんでした。これからは、平等に誰もが主体になり、協働して学べると思いました。
また、寄宿舎での実践例では、バーチャルアシスタント(例えばSiriやアレクサ)を利用し、部屋の電気のオンオフ、ドライヤー、テレビなどの電化製品に対して、サポートを受けるところがありました。
自宅で利用している方は多いかもしれませんが、寄宿舎という家と学校の間の環境で利用するにあたり、学生の時に使えるようになると、卒後の社会人生活で自立に迎えると感心いたしました。そして、寄宿舎ならではの工夫が「Siri」と発音できない生徒さんが、「本人が言いやすい言葉に変えた」ということです。音声でなければ反応しないけど、発音がはっきり言えないから使えないのではなく、変えることができ、変えたこと。とても喜んで使っていました。
動画を観ていたこちら側が嬉しくなりました。
そして、教員の育成に関しては、特別支援教育のコアカリキュラムの策定を進めるそうで、5年10年後には、何らかの障害のある子供が、どの学校を選んでも理解のある教員がいることになり、交流先や進学先での支援に、親として障がいの特性を伝えるのに、言葉にし難い内容を汲み取ってくれる将来が来ることは大変嬉しいことと思いました。
分科会は、「医療」を選択しました。愛知県立一宮特別支援学校の発表は、「一宮モーニング」と言われる喫茶店のモーニング発祥と言われているそうです。一宮市は繊維業が盛んで、学校のPTA活動では地域の高等学校と服作りや、「みんなプロジェクト」で、みんなが使うものをみんなで作る小物製作を続けているそうです。子供の理解が深まり、繋がりができたそうです。
医療機関との連携では、保護者の了承を得て保護者参加型で実施する「自立活動ケース研修」「支援機器及び日常生活用具の相談会」「療育センター合同カンファレンス」「整形外科医との相談」と多くありました!これは驚きでした。目的がしっかりしていて、相談する側、受ける側も、子供が長い時間を過ごす学校での生活で、不安を話し共有する機会は大切です。発表の後は、
グループワークでした。同じテーブルには、発表校の校長先生、北海道の校長先生、保護者4名で話しました。保護者のお子さんは医療的ケアはなく、しかし必要じゃないわけではないという重症児でした。私も含め、皆さん体調が悪くなりそうな時に、しっかりと学校と医療が連携してほしいという願いでした。ITB療法(バクロフェン髄中療法)、ボトックス治療を受けながらも、
成長期は対応に四苦八苦だそうです。
グループワークの発表が終わると、講評をされた医師から、アドバイスがありました。コロナ中でも、発達障害の子供の相談を受けるのに、教育委員会が介入し、WEB会議をしたそうです。そこには報酬がないと時間が割けないので、リハビリの単位と同じ料金を当てられることで実現したそうです。
また、私の方からは質問は、就学前の調査連携について、代理人制度を訪看ステーションが請け負っているかどうかとの話を聞きました。
医療的ケアの申請のため、保護者の待機する時間の短縮と、スムーズな連携を実施している学校があるかと伺いましたが、参加された学校ではありませんでした。
都内では、医療的ケア児のスクールバス搭乗が可能となりましたが、万事ではなく看護師不足で保護者送迎になっているとの話でした。
痰の吸引などは、3号研修を受けた介護職員がいても実施までに至らないケースが多いというお話でした。
そして初日最後は、情報交換会に参加しました。私は「あると便利なグッズたち」を選びました。大阪の支援学校では、生徒が授業で3Dプリンターを使った授業をしているそうで、紙パックジュースのホルダーを作ったそうです。幼児用はありますが、デザインが子供っぽいとのことで、
中高生が使う」デザインにしたそうです。電動車椅子につけるアクセサリーや、福祉車両に乗る際に安全フックで傷がたくさん付くので、車椅子のフレームにフックサポートを付ける。児童生徒の体の清潔を守るために、便を催した後、ボーディーソープでお尻を洗うそうなのですが、お尻シャワーグッズを利用するなど、話の熱の入り方に学校での先生方の愛情を感じました。時間が足りないほどお話がたくさん出ました。交換会の感想では、大事な話も出ました。
便利はどこまで求めるか。佐賀県からご参加された方は、分科会で「機器」を選択したそうです。その時に、「あなたがもし障がい者の立場になったら、看護師・ゴリラ・機械のどれに介護を求めますか?」という質問にゴリラと答えたそうです。自分だったら、愛情が欲しいという理由で、動物を選んだそうです。自分だったら。その人だったら。忘れてはいけない視点で、効率や利便性がストレスを軽減すること、反面で面倒やコミュニケーションが幸せを感じる場合もあります。佐賀県の方の言葉で、さらに良い情報交換会となった気がしました。